台風15号上陸から1ヶ月経ったそうです。で次の大型台風接近中。
15号では浦安の自宅は何ら被害なく、東北の実家は風すらなかった(前線の影響で雨は多少降りました)ので、被害の大きさを実感することが個人的にないのですが、千葉県内でも先の方では送電線倒壊等に伴う停電が長く続き、1週間経っても断続的に停電していたという同僚もいました。
テレビでは、大きな街でもないのに、信号が消えた交差点が激しく渋滞している映像が流れていました。
先日イエス“Yes”不朽の名作“Fragile”「こわれもの」を聴いていました。「お願いだから必ず最後の来日公演来てね」希望アーティストの筆頭、リック・ウェイクマン在籍。(注1)
1曲め“Roundabout”「ラウンドアバウト」(注2)は、車に乗っている時にイマジネートされた曲で、そのもの環状交差点を歌っています。頭の中に花が咲いているジョン・アンダーソンの歌詞なので、哲学的で難解とかいう意味でなく、単に何言っているかよく分かりませんが。
その時ふと思いました。
「信号なんかに止まるかも知れない電気使うのをやめて、ラウンドアバウトにしたらいいじゃん。」
(警視庁ウェブサイトよりhttps://www.keishicho.metro.tokyo.jp/smph/kotsu/doro/kisei_kanjokosaten.html)
信号機設置の弊害
大体において、信号機なんか設置して交通の流れを遮断すること自体がナンセンス。
うちの近所の1番新しい交差点に信号機が設置されたことを書きました。
liprofumodellarosa.hatenablog.com
執念深い私は、この後この信号機のサイクルを計りましたよ。(歩行者基準)
X方向の青時間:12秒
X方向歩行者信号点滅開始からY方向が青になるまで:13秒
Y方向の青時間:12秒
Y方向歩行者信号点滅開始からX方向が青になるまで:13秒
手動測定なので少しズレているかもしれませんが、複数計測の平均は12.5×4よりも12+13+12+13に近かった。
1サイクル50秒。信号を守る前提で言うと、広い道狭い道どちらから来ても、ここに差し掛かる歩行者は大概足止めを食らうということですね。車の通行可能時間はもう少し長いですが、態々溜めた歩行者や右折車のため、1回の信号で通過できなかったりします。元々大した交通量じゃないのに。
メリット受ける人は皆無、影響ない人は信号無視がデフォルトの自転車(not スポーツサイクル)のみ。
特定地域の特定材料で語っても仕方ありませんが。
最近の信号機には、停電でも稼働する太陽光蓄電型とかもあるらしいです。でもパネルやら蓄電池やらのメンテも馬鹿になりません。手間も金も。
そもそも、忙しい災害時にお巡りさん👮♀️に交通整理させること自体二次災害。
ヨーロッパではラウンドアバウトが普通
日本では2014年導入以降僅か87箇所(2019年3月末現在・警察庁)で、うちから1番近いのは千葉市稲毛区らしいです。ヨーロッパでは普通にあるというか、国にもよりますが、郊外は信号機でなくこっちがデフォルト。スムーズな流れを信号機で遮るという発想の方がイレギュラーなのでは。街中は信号機中心ですが、主には歴史的建造物のために色々難しい古都でも、ローマの共和国広場とかパリの凱旋門等がラウンドアバウト。その前後の通りは信号機ですけども。
警察庁によると、通行の効率は、1日通行量1万台を境に、多い交差点は信号機、少ない交差点はラウンドアバウト優位だそうです。
基本的に不向きなのは、
歩行者が多過ぎて、信号機で強制分離しないと自動車が事実上通行不能になる交差点。渋谷のスクランブル交差点が典型。でも車対車だけなら順に入って順に出ていくだけなので、閾値は1万台レベルではないんじゃないかしら。1万台がイメージできませんが。
あとは補償の問題(注3)からラウンドアバウトのための道路用地拡大が困難な箇所。例えば銀座の4丁目交差点。
そんなもんでしょ。
日本でのラウンドアバウトの評価。
トライアルレベルなので何とも難しいのですが、取り敢えず前向き評価なようです。
記事で課題に挙げられている視覚障害者の話はよく分かりません。交差点の形状が分からなくて通行が難しいなら周知が必要でしょうが、車より一方的に優先されるべき歩行者、しかも障害者が車の接近方向を知らないといけない理由が私には分かりません。安心を言ったらキリがありませんが、安全面の話ではないでしょ。
ラウンドアバウトの弊害、導入の課題
1.真ん中に島を作るため、交差点に必要な面積が増えます。
街の真ん中であれば、利用されている地面を潰すのにかなりコスト掛かります。間違いなく掛かりますが、右折帯を設けてスペース取っている交差点も多いので、ラウンドアバウトのために更に必要なスペースは然程ではないかもしれません。
2.交差点が大きくなることによって歩行者の動線が外に移動します。横断歩道は既に歩道より外に引かれていているので殆ど変わらないと思いますが。
3.道が分からなくなる?
進行方向が分からなくなったら、出口の道路標識を見ればいいのです。少なくともヨーロッパのラウンドアバウトはそう作ってあります。信号機は定められた車線から定められた進路を取るしかありませんが、ラウンドアバウトは正しい出口が分かるまで(何周でも)回ればいいことになっています。
交差点内は一方通行なので、5叉路でも7叉路でも安全円滑に通行できるし、パリの凱旋門に至っては12叉路。
4.減速ウザー?
交差点進入都度減速することになりますが、STOP and GOよりいいでしょ。気分も燃料の減りもクラッチの減りもオートバイのバランスも。
この間外環道並走のR298を通り、大きな道なのにしょっちゅう信号に掛かり、渋滞に嵌りしました。でも停止中に周りを見渡すと、誰もいないのに無駄に広い空間が交差点の周りに広がっていたりします。ド田舎でなくても、首都圏でもラウンドアバウト作れます。
土地取得は障害になりますが、ゴネ得なんかさせないで適正な対価で収用すれば、そんなにコストは大きくないかもしれません。
でも日本向きじゃないのかな
上はハードウェアとか車側の問題。
障害は、土地でも金でも交通量でなく、やはりマインドセットでしょう。
嫁はラウンドアバウトが広く普及した国に住んでいましたが、怖いと言います。左(日本では右)から他車が接近してくるところに合流するのが怖いらしく、信号機が一方の流れを止めてくれた方が安心なんでしょう。信号機があっても、私は、Aピラーが太くて右前方の視界が悪い今どきの車で右折するのは怖くて仕方ないし、ありえない速度とタイミングと進路で突っ込んでくる自転車が怖くて仕方ないですが。
でも私は向こうでハンドル握って普通にラウンドアバウト適応しました。楽ですよ。一方通行なんだから。
アウトロー自転車は、ラウンドアバウトに関係ない対処すべき課題。
冒頭で引用したスレッドで、「車に譲ろうと待つ歩行者が邪魔」と書いています。信号がなくなったら「信号を待って横断開始」はありません。ただの横断歩道と同じ。というか、一時停止なく四方から車が集まるラウンドアバウトでは、今の横断歩道の実態と同じように歩行者が自動車を待っていたら、横断は無理。優先である歩行者は躊躇なく渡らないといけない。劣後する車は当然止まらないといけない。交通ルールの当然、グローバル・スタンダードですが、日本ではコペルニクス的大転換。これができないと歩行者は通行できなくなりますね。
表向きは譲り合いとかマナーとか言いながらさしてそんな精神を持っていない日本人が、通行者の自治(信号機が無いだけでルールはあります)に適応できるかどうか。
車の密度は結構高いので、交通が集中して結局渋滞するかもしれません。「右折」がないから多少滞っても流れる筈ですが、田舎っぺは交差点で合流させてくれないし。(若い奴はブロックするし、年寄りは進入他車を見ていない。→帰省すると、何なんだこいつらはと思う。)
歩行者人口も多いので、横断待ち停止のために期待した程車の流れは良くならないかもしれないし、歩行者が途切れない車をいつまでも待つかもしれない。
イタリア人のような空気を読む力がない日本人には向いていないと思う、と以前も書きました。
liprofumodellarosa.hatenablog.com
仮にラウンドアバウトになったら、車と歩行者の関係が変わるのか。イタリア的に歩行者と車が折り合いを付け、絶妙の呼吸で縫い歩くのか、ドイツ以北的に兎に角歩行者を優先し、車が辛抱強く待つのか(そもそもルールは今でもこれ)、車の我が物顔が続くのか。
やっぱり変わらないかな。
でも、「歩行者を守るため」の信号機とか歩道橋とか、自動車優先、交通弱者/歩行者保護後進国日本から、いい加減脱却していかないといけないでしょう。もー世の中年寄りばっかりなんだから一層安全を考えないといけないし、今更箱物やら橋やら新設するよりも、ラウンドアバウトとか共同溝による電線電線電話線地下化とかスマート投資の方がいいです。
ということでラウンドアバウト推し。
注1:私にとってイエスとはABWH(優先順にするとWABHS)なので、今年2月の来日公演は当然参戦見送り。
注2:「環状交差点」はワタシ的には「ラウンダバウト」なのですが、この曲の邦訳のせいかどうかは別として、日本では「ラウンドアバウト」主流なので、止むなくそう書く。
注3:景観とか歴史的建造物への配慮のためにラウンドアバウト化が難しい交差点は、日本では僅かだと思います。元々そんな配慮をして出来上がっているなら、日本中の景観がこんなに醜い筈はない。