甘く香るか青いバラ

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ラファウ・ブレハッチ &ボレイコ指揮ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団 at 東京芸術劇場

東京芸術劇場です。

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大ホールは、1990年杮落とし公演のジュゼッペ・シノーポリ指揮フィルハーモニア管弦楽団によるマーラー「千人」以来。それから間も無く30年ですか。バブルの残滓でしたね。豪華でした。当時パイプオルガンは未完成だったので、エレキだか可搬式でした。有名海外オーケストラ〜といってもフィルハーモニアは3管定員なのでオケの1/3は助っ人日本人でしたが〜によるマーラー・チクルス、交響曲一挙全曲演奏は未だ国内史上唯一らしいです。

www.nicovideo.jp

以上長い脱線。

 

本日は、ラファウ・ブレハッチ(ピアノ)&アンドレイ・ボレイコ指揮ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団ショパン・ピアノコンチェルトです。

ツィメルマンさんの時には言及していませんが、これも日本・ポーランド国交樹立100周年記念 ポーランド芸術祭2019 in Japan参加公演です。ワタシ的には同事業&今年のピアノ・ヘビーローテーションのハイライトです。

 

https://www.japanarts.co.jp/system/up_img/inf_det_pdf_754.pdf

↑公演サイト(フライヤー)へのリンク

 

2005年ショパン・コンクール優勝者にして若き究極のショパン表現者とされるブレハッチさんと今シーズンから音楽監督に就任したボレイコさん率いるワルシャワ・フィルによる、コンチェルト2曲演奏。ショパン好きには絶対に落とせないプログラムですね。

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大枚叩いたS席は2階中段横。。。SSとかGSはないので、1番高いお金払っているのですが、、、。ブレハッチさんの手がよく見えるのが救い。

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ブレハッチさんの録音/録画は、手元にショパン・コンクールのDVD(予選)と、 

コンセルトヘボウとの共演によるコンチェルトがあり、 

ショパン:ピアノ協奏曲第1番・第2番

ショパン:ピアノ協奏曲第1番・第2番

 

そもそもショパンのコンチェルトなので、予習不要。 

 

レビューします。

 

〈プログラム〉

スタニスワフ・モニューシュコ:歌劇「パリア」序曲

ショパン:ピアノ協奏曲第2番短調 作品21

ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11

〈アンコール〉

ショパン:マズルカ第14番 ト短調 作品24-1

 

ショパンと同時代を生きたモニューシュコのオペラは、演奏機会は少ないと思いますが、「パリア」序曲は、短時間に作品のドラマティックな世界を表現した佳曲でした。ボレイコさん率いるワルシャワ・フィルは、大河ドラマでよく起用されている東欧の名門ですが、変化に富んだこの作品をダイナミックに演奏。オーケストラがピアノの伴奏扱いされがちなコンチェルト2曲の前に、しっかりと実力を見せてくれました。

 

ステージ中央にピアノが設置され、ブレハッチさん登場。

最初に弾くのは第2番。当初のアナウンスでは1→2でした。「演奏者の希望で変更」になったそうです。家を出る時、「コンチェルトは曲風からしたら2→1の順番の方がいいよね」なんて嫁に言っていましたが、その通りになりました。別に予言でもなんでもないですが。

演奏が始まり、ブレハッチさんのピアノが音を出す前から鳥肌が立ちます。

世界の誰よりもショパンのコンチェルトを演奏してきた、ポーランドのオーケストラによるショパンショパン・コンクールのあの演奏。

そしてブレハッチさん。

 

別格。

 

テクニックや音色の美しさで比べたら、アヴデーエワさんやチョ・ソンジンさんも負けていないというか寧ろ勝っているくらいだと思いますが、ブレハッチさんの演奏は、音楽そのものが美しい。ショパンが、ショパンの音楽が語りかけてくるようでした。

若きショパンの瑠璃の如きリリカルな感性が迸る第2番、世界に飛び出さんとする才能溢れる音楽家の野心と不安、去っていく故郷への思いが交錯する第1番。

ブレハッチさんのピアノとボレイコさんのオケが一体となってショパンの世界を紡ぎ出した素晴らしい演奏でした。

 

圧巻。

 

いやこれは、細かい解説/感想言えない。

若くしてショパンの最高の表現者とされる彼ですが、ショパン・コンクール、CDから更に進化していました。まさに当代最高、現在体験しうる最高のショパン演奏でした。

コンサートは、コンチェルトの高揚から、マズルカで静かな余韻を残して終了。

個人的にアルゲリッチさん(&小澤さん)とともに今年の双璧と位置付けていたこのコンサート、期待通り、期待以上でした。

 

その他。

ブレハッチさんは、ボレイコさんが大きいのか、意外に小さく見えました。見た目もショパンに似ていると言われていたので、長身なのかと思っていました。

第1番の第1楽章と第2楽章との間、鍵盤を拭いている最中1つ音が出て、会場からは和みの笑いが漏れました。

 

チケット代に込みの無料パンフレットです。16ページ。

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因みにこのパンフ、P.6の公演日プログラムとP.8のソリストが本日用。日によって配布物が異なるようです。妙に細かいぞ。


ここ最近古希に遠いアーティストが続いていますが、

  • 軒並み古希を迎えている巨匠たちを、見れるうち、聴けるうちに見、聴きする

 と別に今年もう1つのテーマを持っていました。

それは、

  • ショパン・コンクール優勝者の来日公演は全員聴く。

 

ツィメルマンさん、アルゲリッチさん、チョ・ソンジンさん、ダン・タイ・ソンさん、アヴデーエワさんに今日のブレハッチさんの6人全制覇。コンクールを有難がっても仕方ありませんが、ショパン好きには極めて重要な1つの指標ですからね。アルゲリッチさんとアヴデーエワさんは公演ではショパンを弾いていませんが。

その中でもアルゲリッチさんと並ぶハイライトと位置付けていたブレハッチさん。

自分の音楽体験上最大級の事件としてあと何十年残っていくことが確実。

 

満足満足。ああ幸せ。