富士登山ライヴ配信中に滑落死した話は、間もなく1か月になりますか。
見ると(見なくてもいいんですけども)、滑落した瞬間のね、ゆっくりした感じ。すぐそこに死が待っているなんて全然感じないような何気ないその瞬間に止まれないと終わりなんですね。加速が始まったら、もう、天に運命を任せようなんて思う間もなく衝撃で気を失い、二度と目が覚めないか、運が良ければ怪我の痛みで目が覚める。
私ライヴ配信とかはしませんが、トレランなんて、木の根に足を取られてダイブとかいつでも起き得ます。崖下に落ちて大怪我することはそうそうなくとも、転倒して腕や脚を折るかもしれないし、運良く捻挫で済んでも、黒戸尾根5合目でやったら健常者標準タイムで登山口まで3時間半、七丈小屋に引き返すにも梯子の連なる急登を1時間以上掛かる。
ライヴ配信どころか、会話だって、山行の集中力を削ぐものはみんな危ないです。
この人の装備が色々言われていて、何が真相かはよく分かりませんが、外輪山まで上がって「手が悴んでスマホが出せない」とか言っていることがおかしいです。
真面目に冬山やるなら、10〜12本爪アイゼン必須、ピッケル必須、防寒装備も万全である必要があるし、ウェアもハードシェル必須(レインウェアではダメ)。
私の装備では、シューズが弱いな。
サロモン S/LAB X ALP CARBON GTXは厳冬期には防寒性が不足、ゲイター部が防水ではないので、継続的に雪が着いていると融けて中が濡れる。
まー厳冬期縦走や富士山は怖いからやりません。
さて、雨の中万全の装備で歩いて...とか前に綴っていますが、実態は万全ではなくなっています。
サロモン XA PRO 3D GTX。
トレラン歴初期から、冬用に履いていたゴアテックスのトレランシューズです。エッジの効いた硬いアウトソールは圧雪でもグリップが効き、ゲイターで雪の侵入さえ抑えてしまえば、積雪の箱根外輪山も終日快適に使えます。
が、アッパーが破れ、普通に外から濡れるようになりました。
走った距離は500km程ですが、雨天時通勤等ログを取らない歩行多数に加え、タイトフィット感が出難い分厚いアッパーを細いクイックレースで締め付けて傷めた要素も多分にあります。
何れにせよ退役。
XA PRO 3D GTXの特徴
⚪︎ゴアテックスなので勿論防水。
⚪︎高スタビリティ、堅牢でプロテクション充実。岩場でも、躓いても安心。
⚪︎ドロップが10mm(新型は11mm)ある分厚いミッドソールで、歩く分にはクッションもよく効きます。
→登山ガイドの使用率が高い、現在では寧ろファストハイク/ライトトレッキング向けな位置付けでしょうか。私の感覚では、荷物15kg以内ならテント泊もこれで十分。
×ランニングシューズとしては重量級です。私のモデルは27cmで395gだったと思います。
×タイル等吸水の悪いところでは滑ります。岩場は安心ではないかもしれません。
×10mmドロップは、フォアフッターには走り難い。正直今の私は、荷物なしでもこれでは走れません。
さて、何を買うか。
トレイルランニングシューズについての私の基準はサロモンFELLRAISER。
最近山行が著しく減っていることもあって、購入5年経ち、走行1,000kmを超えた今も現役。アウトソールはあと500kmは楽勝な感じですが、アッパーが大分草臥れてきました。
税込11,500円(消費税8%当時)と、トレランシューズの相場が上がる前でも安価だったのでいろいろ作りが安く、構造としてはトウが妙に厚いところは難点ですが、290gと当時モノとしては軽量、深いラグによる抜群の悪路走破性、ドロップ6mmの走り易さ。
これに、冬季に(低山で)凍えないための防寒・防水性を考慮。
スポルティバ URAGANO GTX
「ウィンタートレイル・競技用」。アッパー:ゴアテックス防水。ゲイター:ソックシールド防水。ドロップ10mm。350g。27,500円。どういう風に着くのか説明見たことないですが、金属スパイクのオプションがあるそうです。
スカルパには候補が3足あります。
スカルパ リベレS OD
「アルパインランニング」(トレッキング寄り)」。アッパー、ゲイター:アウトドライ防水。ドロップ不明。440g。45,100円。セミワンタッチアイゼン装着可能。
スカルパ アトムS EVO OD
「アルパインランニング」。アッパー:アウトドライ防水。ゲイター:非防水。ドロップ4mm。360g。37,600円。
スカルパ ニュートロンG
「スノーランニング」。アッパー、ゲイター:アウトドライ防水。ドロップ6mm。400g。25,300円。氷雪用アウトソール。
サロモン S/LAB XA ALPINE 2
(https://www.salomon.com/ja-jp/shop-apac/product/s-lab-xa-alpine-2.html#color=8597)
「アルパインランニング・競技専用」。アッパー、ゲイター:撥水。ドロップ6mm。370g。30,800円。トウにクライミングゾーンあり。
サロモン SNOWSPIKE CSWP
(https://www.salomon.com/ja-jp/shop-apac/product/snowspike-cswp.html#color=17515)
「スノーランニング」。アッパー、ゲイター:CSWP防水。ドロップ10mm。400g。28,600円。金属スパイク付ソール。
あと、買った後に気付きましたが、モントレイル、しばらく前からはコロンビアモントレイルだそうですが、Mountain Masochist IV Outdoor Extreme Winterという長い名前の商品がありました。トレランシューズのスタンダード「マウンテンマゾヒスト」の名を冠した、軽量337g、ドロップ8mmの完全防水で値段も2万円未満というスペックは魅力的。
[モントレイル] トレイルランニングシューズ マウンテンマゾヒストIVアウトドアエクストリームウィンター BM5314 メンズ 053(グラファイト・ブライトカッパー) US 9.5(27.5 cm)
- 出版社/メーカー: montrail
- メディア: ウェア&シューズ
- この商品を含むブログを見る
でも、ただの防水シューズっぽい何ともイケていないデザインに感じます(注1)、
で、結果は。
XA アルパイン2。
以前ウラガノの先代、というかウラガノとメチャ被っていそうなのに微妙な用途相違があるのか今も海外では売られているらしいスポルティバ CROSSOVER GTXを買いそうになりながら特価に釣られてXA PRO GTXを買った経緯があったので、スポルティバ/ウラガノは気になりましたが、走るには10mmドロップは選択できないな、やっぱり。スカルパは、、、外連でバタくさいところがいい筈のイタリアンながら、スポルティバ程イケてない(注1)。
で結論はXA アルパイン2。うん、考えるつもりが何も考えていませんでしたね。イタリアンのバタくささは無いですが、サロモンのS/LABシリーズらしいシュッとしたところがいい感じです。
ベースは当時の最高峰レースシューズS/LAB SENSE 5 ULTRAなので、言うことありません。トウが硬いとか反っていないというのは、フォアフットの(遅い人)はヒールストライク程トウを残さないから多分大丈夫。
ただ、防水じゃありません。結構な本数の紹介記事に防水とか書いてありますが、嘘です。嘘と言うと中傷か、では「間違い」です。「メーカーが言う程防水が効かない」どころかメーカーも撥水を謳っているだけです。ゲイターはすぐ水を通すでしょう。
私の積雪期登山用シューズS/LAB X ALP CARBON GTXがそうです。
アッパーはゴアテックスですが、ゲイターはただの「撥水」です。これと同じ。
XAアルパインのゲイターはもう少し緻密でメンブレンが入っていそうですが、メーカーがそう言っていません。
レビュアーは、多少なりとも金を貰っているなり店で売るための宣伝なりを目的として書いているんでしょうから、足元もドライな晴天で使って防水とかいい加減なこと書いていないで、雨の日やベタ雪の中でレビューすべきです。サロモンの説明では、XAアルパインは、ゲイターどころかアッパーも撥水です。
条件から外れていることを分かってて買うお前は何なんだ観ありますが、結局、慣れたサロモンの、フォアフットで使えるゲイター付シューズがこれだけだったってことですね。
履いてみます。
中にもう1足入っている感じ。このテは足入れが悪いです。
サロモンで27cmはキツいかなと思いましたが、スマートウールのソックスを履いてジャストフィット。
うん、見た目より軽快です。
ソールは硬めで、アッパーもゲイターがありますが、見た目程動きの突っ張り感はありません。
大量に吹き付けられるよう防水スプレーの在庫を増やしました。テキスタイルが防水でないので、雨中でどれだけ効くかは微妙ですが。
3M 防水スプレー 防水 防汚 衣類 布製品用 345ml スコッチガード SG-P345i
- 出版社/メーカー: スリーエム(3M)
- 発売日: 2012/05/24
- メディア: ホーム&キッチン
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログを見る
さて、問題は、ホームコースが今走れない点。
甲斐駒ヶ岳は既にトレランシーズン終了。台風19号の影響による5合目登山道崩落はこの週末に仮復旧したようですが、5月までは冬季登山になるので、このシューズの出番なし。
https://www.kaikoma.info/post/黒戸尾根五合目「仮復旧」の見込みと、七丈小屋仮営業開始のお知らせ
箱根は、昨年7月の豪雨(台風7号でしたか)の影響により湖尻峠〜山伏峠間の西外輪山が通行止めでしたが、先月の台風19号の影響で芦ノ湖西岸遊歩道も崩落し、復旧時期未定だそうです。
うーん、これは山で活躍するよりも、平地履きで雨に悩まされそう。雨の中歩くならフォアフットよりも10mmドロップのウラガノの方が間違いなく強かったなあ。
注1:個人の感想です。