甘く香るか青いバラ

ロードバイク初心者がディスクロード+EPSを自分で組んだ記録から始めてみる

R32GT-R クラッチ交換(Tilton→ATS)

R32GT-Rは、嘗て存在したグループAというレギュレーションのレースでの勝利を目的として、開発されたモデルです。主戦場の全日本ツーリングカー選手権は29戦無敗で終了。(注1)

 

ということになっていますが、勝つとかそういうレベルでなく、チートです。モータースポーツ史を見渡しても、「いや、それ反則だろ(注2)」度でこれに並ぶチート・ウェポンは、WRCランチアストラトスくらいでは?全戦ポールポジション、決勝では他車が渾身のアタックで叩き出した予選タイムと同じペースで周回するんだから話になりません。

一瞬で敵を全滅させてワンメイクになっちゃっているので、そもそも「勝った」と言うかせいぜいが不戦勝なんですけども。

海外でも、90年マカオ・ギアレース優勝。

 

91年スパ24時間耐久レース優勝。

どっちも2年目はウェイトハンデに潰されましたが。140kgとか90kgとかってそもそも元のルールにないだろ、って話ではあります。

93年にはグラベルヒルクライム・レース、パイクスピークにおいて、レコードでクラス優勝したのもグループAベースのR32GT-R。

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オーストラリアのツーリングカー選手権も3年連続チャンピオンです。(注3)

あまりの強さに“Godzilla”と呼ばれたといいますが、映像見ると意外に遅くて、デビュー戦では、日本で一捻りしたフォード・シエラRS500コスワースに負けているし、以後もいい勝負しています。「何でシエラより遅いのよ⁉️」と思ったりするのですが。

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それでも伝統のバサースト1000では91年に圧勝しちゃったので、翌92年は上のマカオと同じ140kgものウェイトハンデ+リストリクターを科せられたそうです。それをものともせずトップ周回していましたが、自車を含む多重事故による黒旗優勝で物議を醸したそうですけども。

元々ラリーを除いて終焉を迎えつつあったグループAに登場したGT-Rは、圧倒的な強さと、GT-Rを止めるための各国の牽強附会なレギュレーション運用を齎したことで、二重の意味でカテゴリーを潰しましたね。

オーストラリアからのスポット参戦のようですが、ニュージーランドの伝統的なレースでも勝ってます。

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全日本ツーリングカー選手権の映像はリアルタイムで結構持っていますが、海外の映像は以前は見ることできませんでした。有難や有難や。

 

N1耐久でも、三菱ギャランVR-4に1回負けていますが、R33GT-Rのデビュー・ウィンを阻んで国内29戦28勝。ニュルブルクリンク24時間耐久優勝、スパ24時間耐久2年連続優勝。

 

ここまでが長大な前置きなのですが、そういう生い立ちのモデルなので、チューニング・コンセプトがグループAだったり、当時のレースパーツに特別の思いを抱く人も、多いかどうかは知らないが、多少はいる。

私はまさにそういう世代。

 

うちのGT-Rも、パワー・重量面で不利でもツインターボに拘るとか、ホイールは18インチとか、ノーマルルックを変えるエアロパーツは着けないとか。因みにニスモタイプのバンパーは好きじゃないので不採用。
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細かいことを言うと、ダクト付ボンネットとかアンダーカバーはレギュレーション外ですが。

 

その中でも格別に拘りがあったのは、

  • alconアルコン 6POT レーシングブレーキ
  • Tiltonチルトン ツインプレート フルカーボンクラッチ

の2つ。どっちもレースの世界で名を馳せ、グループA R32GT-Rに採用されたブランド。

あと、

というガチ定番も使っていましたが、サーキット専用マシン化の際にショックは別ブランドに変わりました。

で、アルコンは長年のストリート使用でキャリパーにクラックが入ったため、装着から15年を経過した5年前に、同じアルコン6POTでもストリート仕様(サーキットでの使用にも耐えます)に交換済。ルックスとFISCO改めFSWの周回性能は落ちたかもしれませんが、耐久性は上がったでしょう。

そしてチルトンのカーボンクラッチ。その前もチルトンのツインプレート(メタル)だったのですが、こちらも装着から15年経ちました。装着後走行距離は7万kmと大したことないものの、レーシングクラッチでは常用しない街乗りの発進・停止を1速ハイギアードのクロスミッションで繰り返し、ミートポイントも大分上がってきてそろそろ心配。

 

最近整備工場へのレッカー搬送が2回あり、2度あることは3度あっても嫌なので、入庫ついでに交換することにしました。ホントはプレートだけの交換で済ませてチルトンを継続したかったのですが、元々がショップがデモカー用に手配してデッドストック化し掛けてていたものを私が引き取った1台きりのレース用スペシャルキット、補修パーツが出ませんでした。チューニングパーツは10年で色々な改良が進むので、そもそも最新モデルへのAssy交換は正しい選択ですけども。

 

それで交換したのは、ATSのツインプレート カーボンクラッチ(Spec2)。

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この間の甲斐駒ヶ岳行きが、初めての纏まった距離のドライヴでした。

チルトンカーボンと比べると、この辺が変わりました。

  • ペダルが圧倒的に軽い(これはプッシュ式→プル式の影響もあります)
  • 剛性感低下(「感」です。軽さが影響していると思います)
  • 半クラッチ領域が広く、容易くアイドリング発進可能
  • クラッチを踏んでいる時にジャラジャラ音が聞こえるようになった
  • 始動時にもこのジャラジャラ音が混じるようになった。

こんなとこですかね。

操作面では、いかにもチューンドカー的な「らしさ」が圧倒的に減ったのが残念ですが、楽です。凄く楽です。私自身渋滞は元々そんなに苦にしませんでしたが、全く苦になりません。ペダルがそこそこ重く繋がりがシビアで慣れている私でもいつもと違うシューズでボケっとしているとエンストする、チルトンとは違います。

「ジャラジャラ音」てのは乾式マルチプレートクラッチでは普通に出るバックラッシ音てやつですね。チルトンはセンタープレートもカーボン製で金属の接触音が出ないので、もっと軽い音が遠くから聞こえるような程度でした。

「始動音」も同じで、チルトンは殆どノイズなくクランキング音→エンジン音と切り替わっていたのですが、替えたらこのバックラッシ音が混じるようになりました。

音に関してはATSの方がチューンドカーっぽいですが、

「ああ、皆んなの車の音ってこれだったのね❗️」

と気付いた瞬間。

まあ前のはメタルだったので音はありましたが、始動時には目立たなかったなあ。ATSの組付け精度は高い筈だし、古いチルトンの方が精度が高いこともないと思うのですが、チルトンのツインプレートを20年ウン年使ってきて自車で他社クラッチと比較したことがなかった(注4)ので、32と33以降でセルモーターが違うんだろうぐらいに思っていて、他車の始動音がクラッチ由来だと思いませんでした。

この間の故障の際に酷使したセルモーターではないと思います。セルモーター由来だと思わないようにしたい心理もありますが。

 

さて、チルトンのクラッチ

さすがレーシングクラッチ、投入されたコストが半端ではありません。

チタン製カバー(ATSはアルミ、因みに以前のチルトンもチタン)

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プレートは全部カーボン(ATSはセンタープレートがスチール)
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1番重いフライホイールに軽量タイプを組んでいないのでセット重量は大差ないですが、チタンカバーは高剛性を生かして薄肉化してあるのでしょう、比重が軽い他車製アルミカバーより軽かったです。
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扱い易くはないけど、ソリッドなタッチ、シャープな切れは比類なし

嵩張るので、どっかのタイミングでは処分すると思いますが、暫くは手元に置いて愛でることにします。

 

因みにクラッチ交換のきっかけになったレッカー入庫は、バッテリーボックスのヒューズの接触不良という、部品交換すら要しないマイナートラブルでした。

内装全剥がし・鉄板剥き出しの厳しい車内環境でヒューズボックスの接触部分に錆びが出て、振動による接触面の変化で通電しなくなることがあったと。バッテリーのターミナル自体はちゃんと見ていたんですけどね。これもレースパーツが想定していないストリートでの長期使用によって発生したトラブルということではありますが、以前は導電性は銀・銅には及ばないものの耐食性の高い金メッキパーツがありました。経済的ではないので最近はすっかり廃れているそうです。

まあ元々あまり乗っていないのですが、最近一層乗車機会が減り、ショップへのメンテ入庫=点検機会も減っているので、マイナートラブルを抑えきれないのが悩ましいところ。その分自分で注意しないといけないんですけども。

 

注1:という歴史を誇らしげに語っているかと期待して日産のサイトを見てみたら、ありますね、普通には探せないようなリンクを辿った先に。大したヴォリュームではありませんが。

n-link.nissan.co.jp

まだ載っているR32とかハコスカはいいんですが、R33やR34GT-Rのユーザーは、、、見るところないです。せめてHERITAGE COLLECTIONへのアクセスをもう少し分かりやすくしてくれればいいんですが、ニスモのサイトでも、過去の偉大な戦績はテキストでしか見れません。ユーザーは日産のサイトに用が無いというか、ユーザーは日産からお呼びじゃないというか。

注2:反則ではなくレギュレーションの範囲内ですが、後年のライヴァルも追い付けない程の孤高にあればそう言うしかない。

注3:初年度の90年は日産が3つ勝ったうちの2つはR31のGTS-Rによるもので、チャンピオンチームではあるものの終盤の2戦走っただけのGT-Rを以てチャンピオンカーとは言い過ぎ。

注4:初代R32GT-R(中古)は買った時からアホみたいに重いニスモクラッチが入っていたが、プレートが1枚しか入っていないシングルプレート&ストラップドライヴだと思うので、この接触音はなかった。と思う。その後エンジンチューンに伴ってチルトン装着。で、今のR32GT-R(これも中古)は購入即整備工場に納車して初代のエンジンに換装しているので、そもそも私はノーマルクラッチを知らない。