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ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル at 東京オペラシティ

東京オペラシティにやってまいりました。

本日のコンサートは、

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ショパンコンクールの余韻も冷めやらぬところですが、2005年ショパンコンクール絶対王者ラファウ・ブレハッチさんです。

2019年の私の音楽活動(リスニング専門ですが)の大キャンペーン「今年来日するショパンコンクール優勝者全員の公演を聴くぞ」(注1)の大トリでアンドレイ・ボレイコさん(注2)指揮ワルシャワフィルハーモニー管弦楽団ショパンのピアノ協奏曲第1番、第2番を聴かせてくださいました。

 

それ以来約2年振りの来日公演です。

www.japanarts.co.jp

公演ページは大体消えるので、しばらく経つと「file not found」とか「お探しのページは見つかりません」とか言う表示になるとは思いますが。

と言うことで、

フライヤー

https://www.japanarts.co.jp/wp-content/uploads/2021/09/concert_917_2.pdf

追加公演のサントリーホールの方がまだ少し交通の便が良かったのですが。

都内でのコンサートにさっぱり行ってなかったので、紙のフライヤーが入手できていません。非常に残念です。

プログラム

https://www.japanarts.co.jp/wp-content/uploads/2021/07/program_917_thum.jpg.pdf

 

プログラム

J.S.バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV 826
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第5番 ハ短調 Op. 10-1
ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO. 80
* * *
フランク(バウアー編曲):前奏曲、フーガと変奏曲 ロ短調 Op. 18
ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 Op. 58

彼の原点であり、最近の進境著しいバッハと、ショパンです。フランクは小曲、ベートーヴェンは私は好きじゃないので、ピアノ・ソナタは流石にグールド盤持ってますが、聴いても分からないだろう、ってぐらいなもんですけども。

(アンコール)

ショパン:ワルツ第3番 嬰ハ短調 Op. 64-2

(11/4:アンコールの曲番相違に気付いたので訂正。好きな曲なのでそうそう間違えない筈なのですが、ショパンコンクールで3番に言及した時の入力履歴が出たんでしょう、多分。)

ショパン:ワルツ第7番 嬰ハ短調 Op. 64-2

 

座席は1階後方端寄りです。S席8,000円ですが、チケットぴあプリセール初日争奪戦でSold Out寸前にギリギリ確保できたあんまりよくない席です。まあオペラシティのコンサートホールは2、3階の横席はそもそもステージを向いていないので、遠くてもいいから兎に角1階か2-3階の正面席を押さえるしかないのですけども。

2つ前・1つ内側の席の頭頂部の髪の薄い男性の座高が高く、その隣席が空いているためにオフセットして座っていたため、私のポジションからはブレハッチさんが見えないことがあったことが残念です。

 

さて、演奏ですが。レビューしておきます。

本日のワタシ的ハイライトその1、パルティータは、堅牢な構築性を備えたこの曲の構造を明晰にした、大変知性を感じさせる演奏でした。私としてはもう少し熱の高い演奏の方が好みではありますが、彼らしいストレートなアプローチが好印象。

続くベートーヴェンからフランクまで、休憩を挟んで計4曲聴きましたが、今更驚いたのは、ブレハッチさんのテクニックです。そんなに技が切れる人だとは思っておらず、最近言及したショパンコンクール二次予選の牛田智大さんのときもそんなこと書いているのですが、今日聴いて改めて思ったのは、この方のテクニック、メチャメチャキレがいいんですね。テクニカルなフレーズを軽々と弾ききり、それでいてさっぱりヴィルトゥオーゾっぽく聴こえない自然な流れ。いや、ハンパないです。10年以上誤解していました。一昨年ライヴ聴いたのに誤解していました。

 

撤収する休憩終了のベル。

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最後はピアノ・ソナタとワルツでショパンが2曲続きました。特にピアノ・ソナタは今年聴いた最高のショパンでした。1音1音心に沁み入る第1楽章から始まり、第3楽章では激しいグルーヴが心を揺さぶりました。一昨年のコンチェルトも圧巻でしたが、今回も圧巻でした。ショパンコンクールをぶっちぎり優勝した後も不断の研鑽を積み上げて到達した、至高の芸術だったと思います。そんな意図はないでしょうが、反田恭平さんや小林愛実さんや優勝したブルース・リュウさん達に格の違いを見せ付け、更なる高みを目指せと説いているようです。彼らの目指すべき背中がここじゃないかな。

このパルティータとピアノ・ソナタは、彼のショパンコンクールの30年先輩にして当代最高のピアニスト、ツィメルマンさんで12月にまた聴きます。

2人のアプローチを聞き比べるのが楽しみです。

 

注1:マルタ・アルゲリッチさん、クリスティアン・ツィメルマンさん、ダン・タイ・ソンさん、ラファウ・ブレハッチさん、ユリアンナ・アヴデーエワさんとチョ・ソンジンさん計6人コンプリートしました。あとはブーニンさんが日本在住ですが病気療養中で公演なし、2位のアシュケナージさんはピアノコンサート予定があったのですが病気で中止、この病のためでしょうか2020年1月に引退されました。

ユンディ・リさんはその年来日公演ありませんでしたが、今後あるのでしょうか。

news.tbs.co.jp

私としてはコンクール直後以降伸び代をあまり感じさせなかった方なので、「どうしても聴きたいピアニスト」リストには入っていませんけども。

注2:ワルシャワ・フィルだし「アンジェイ」の方が正しいかなと気になっていたのですが、父方はポーランド人であるも母方ロシア人ロシア生まれのロシア人だそうなので、引き続き「アンドレイ」表記します。