本日はマルタ・アルゲリッチさんの81歳の誕生日でございまして。
私は1人でサントリーホールにやってまいりました。
アルゲリッチさんとクレーメルさんの頂上デュオと、チェロのギードレ・ディルヴァナウスカイテさんの参加する三重奏を鑑賞です。
2020年3月にこのデュオのコンサートが予定されていましたが、2019年の(ワタシ的)コンサートラッシュの反動で支出抑制に入っており、アルゲリッチさんのコンサート2本の予約が既に入っていた同月、後から発表されたこのコンサートはチケット購入を見送っていました。そしたら予約済公演もこれも全てコロナ禍で中止になりましてね、巡り巡って今回、改めてスケジュールされたこのデュオ+1コンサートを聴きに行くことになりました。
散々私にピアノ・コンサートに付き合わされた嫁は、当代最高のヴァイオリニストであるクレーメルさんが出演されるにも拘らず、「ピアノは飽きた」と高価なチケットを買ってまで聴かないということで参加を見送りました。趣向の違いで、嫁はアルゲリッチさんのピアノに魂が震えないのだから仕方ない。
因みに昨年の第18回ショパン・コンクール第3位マルティン・ガルシア・ガルシアさんが来日中、オール・ショパン・プログラムを引っ提げて6月3日にオペラシティ、6月4日に川崎でコンサートをしていますが、そちらは私も見送りました。
18時30分の時計に聴き入る人達。
チケットはS席20,000円@1枚です。奏者の表情が見えるよう、今回は敢えて右サイド2階席を選びました。
コンサートが少なくてホールに行かないので、フライヤーが手元にありません。2020年3月のは入手していましたが、参加しないものは保管しないので捨てちゃったしなあ。
PDF版(表だけ)は上記公演リンクの一番下にあります。まあ公演リンクは終わると消えるのが大概ですが。
ボリューム的に些か寂しい表紙込み8ページの公演パンフレット付。
【プログラム】
【第一部】
(クレーメル ・ソロ)
ロボダ:レクイエム(果てしない苦難にあるウクライナに捧げる)
シルヴェストロフ:セレナード
【第二部】
(アルゲリッチ・ソロ)
シューマン:子供の情景 op.15より第1曲「見知らぬ国より」
バッハ:イギリス組曲第3番ト短調 BWV808「ガヴォット」
ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番 ホ短調 op.67
【アンコール】
(クレーメル & ディルヴァナウスカイテ)
ヒル姉妹:ハッピーバースデートゥーユー
シューベルト:君は我が憩い
ロボダ:タンゴ「カルメン」
アルゲリッチさんのソロ曲とアンコール曲は、深夜カジモトのサイトに載りました。
私の耳には「子供の情景」は第2曲「不思議なお話」もあったように聴こえたとかスカルラッティは別の曲が演奏されたと思ったとか発表された情報と色々違うものが残り、アンコールのシューベルトは曲を知らなかったとか(勿論「カルメン」も誰の編曲かは知らなかった)ありましたが、知らなくても限りなく楽しめました。
ヴァインベルクはクレーメルさんの傾倒ゆえか分かりませんが、第一部は旧ソ連時代にラトビアはリガに生まれたクレーメルさんのメッセージ色濃い2曲から始まり、ユダヤの悲哀を背負ったこれまたポーランド出身のヴァインベルクで、かなり重く締めました。
第二部は、結局事前には曲目が公表されなかったアルゲリッチさんのソロは軽妙な小曲集から始まり、(ワタシ聴いた時点では曲目に自信がない割に)いずれも心が安らかになる演奏でした。
そして3人揃った本日のメインディッシュ、ショスタコーヴィチは、チェロがヴァイオリンより高い音を弾いていることを目で見た「聴いたことはあるが予備知識はない」私は驚き、ピアノがどっしり構えた上で繰り広げられるリードの応酬に素直に感動しました。あと大事なのは、悲しみで終わるところですね。音楽評論家ソレルチンスキー氏に捧げられた曲ということですが、ここではロシアの侵略の前に斃れたウクライナの人々に捧げられているのだと思います。中止になった2020年とメイン曲は同じ筈ですが、クレーメルさんの意向が強く反映されたであろうプログラムが、時勢に合っていましたね。
アンコールは、本日81歳の誕生日を迎えたアルゲリッチさんに2人からハッピーバースデートゥーユーの演奏があり、カーテンコールを挟みながらシューベルト、ビゼー(というかロボダ)と続き、拍手喝采で終演となりました。
アルゲリッチさん81歳、クレーメルさん75歳、テクニックそのものは若干低下した観なきにしもあらずですが、やっぱり凄かったです。