3連休最終日の7月18日月曜日、漸く晴れた海の日のこの日は、三軒茶屋までやってまいりました。
長らく演奏活動を中断されていたスタニスラフ・ブーニンさん9年振りの公演が、ここで開催されます。
クラシックにあまり詳しくない方々でも、辻井伸行さん、フジ子・ヘミングさん、清塚信也さん、高嶋ちさ子さん達に次ぐくらいに知名度が高いアーティストではないでしょうか。(一定以上の年齢限定かと思いますが。外国人だと故カラヤンさんぐらい?)
日本中を大変なブームに巻き込んだ衝撃の第11回ショパン・コンクール優勝からもう37年になろうとしている訳でありますが、あの演奏のインパクトは、以降(方向性の全く違う)ブレハッチさん以外には比肩比するものがない圧倒的なものだったと私は思います。
【プログラム】
1部 トークショー(司会:朝岡聡)
2部 シューマン:色とりどりの小品 op.99
本公演は2部構成。1部は、ブーニンによるトークショー。司会はフリーアナウンサーの朝岡聡が務め、ブーニンの魅力に迫る。2部では熟練を重ねた今のブーニンの魅力的なピアノに「再会」。再会に選んだ曲はシューマン。伝説と呼ぶにふさわしいブーニンの、新たな魅力を目撃する公演となっている。
(https://spice.eplus.jp/articles/304449)
ピアノはファツィオリ、生で聴くのも初めてじゃないかな。
公演パンフです。三つ折り6ページ相当。
色とりどりの小品14曲の解説など、ブーニンさんの拘りが伺えます。
著作物なので、丸写しできないようにしておきますが。
トークショーは、ブーニンさん伴奏による浅岡さん「浜辺の歌」のアルトリコーダー演奏から始まり、ブーニンさん過去や将来が語られましました。
左肩と左足だそうですが、負傷からまだリハビリ中、左足にはロンドンブーツの如き厚底の装具、上体もぎこちなさを感じさせました。
まだ思うように弾けないとのことですが、シューマンの慈しみの音楽が、幾多の苦難を乗り越えてここにある彼によく合うように思います。
2部の演奏。「色とりどりの小品」はまさに色とりどりですが、往時の彼を映像やCDで聴いた人にとっては(それどころか今Youtubeで当時のNHK特集が見れますが)、
技術的には程遠いと思います。あの圧倒的なキレと疾走感はありません。右手と左手の持っていき場を探すような仕草は、曲が完全には手の内に入っていないようにも見えました。
でも齢を重ねたブーニンさんの、心に沁み渡るような新境地を聴けたと思います。
そして後半、番号が2桁になる10曲〜14曲は、時折ハッとさせるタッチなど、そこにいたのは紛れもなく「あの」ブーニンさんでした。
【アンコール】
往時のブーニンさんから想像し辛いメランコリックで甘美な67-4でした。
私は安堵しました。まだリハビリが続くと思いますが、今後もまたいい演奏を聴かせてくださるでしょう。
ファツィオリのピアノですが、2,100席もの巨大なホールでしっかり鳴るボリュームと明晰さがよかったです。
遠路三軒茶屋まで来た甲斐がありました。ありがとうございました、ブーニンさん。
そして三軒茶屋駅と昭和女子大学の往復、ここR246は車道左端に幅広な自転車通行帯が引かれ、左端車線には自動車もあまり入らず、自転車がすいすい走っていくのが印象的でしたが、そんな環境に恵まれながら歩道を走る自転車もまた多いこと。
私に突っ込んできたクロスバイクもいました。蹴り倒せばよかった。こんな連中がいては、そりゃチャリカスとか言われるわな。