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イーヴォ・ポゴレリッチ ピアノ・リサイタル 2023 at サントリーホール

昨日は今年1本目のコンサートでした。

 

最寄り六本木一丁目駅着18:00と40分程の時間が確保できたので、経路上のイタリアン、Brianza6.1でカルボナーラを頂いてからサントリーホールに入りました。

la-brianza.com

 

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本日はワタシ的2回目のイーヴォ・ポゴレリッチさんです。

 

www.kajimotomusic.com

前回聴いたのが2020年2月ですが、21年の公演がCOVID-19禍で中止されているので、世の中的にも同じく3年振りです。

 

その間、24年振りのショパン録音が発売されています。

 

《プログラム》

ポロネーズ第7番 変イ長調 op.61 「幻想ポロネーズ
ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op.58
幻想曲 ヘ短調 op.49
子守歌 変ニ長調 op.57
舟歌へ長調 op.60

 

オール・ショパン・プログラムです。中止になった21年公演もそうだったので、同じプログラムではないでしょうか。

80年ショパン・コンクールの「ポゴレリッチ事件」で知られるポゴレリッチさんのショパンですが、今回のハイライトは、上記アルバムに収録したピアノ・ソナタ第3番でしょう、多分。

一昨年の秋にツィメルマンさん、ブレハッチさんという超大物を連続で聴いた愛聴曲ピアノ・ソナタ第3番ですが、youtubeで視聴できる彼の第3番は、彼らしいといえば彼らしい自在な演奏ながら、流石に勿体ぶり過ぎではないかという印象があり、好みではありません。正直、「ソナタはガッカリだった」との感想を帰ることも懸念していました。


www.youtube.com

私としては、録音・録画で聴ける限りはこちらのブレハッチさんがNo.1です。


www.youtube.com

 

今日は嫁がいない1人なので、変則な席にしてみました。B席、ステージ後方のPブロック。オーケストラだと指揮者を前から見れるいい席です。

ピアノではむしろ音響的なデメリットが大きいですが、ステージに近いので奏者の表情がよく見えます。

平常時は出口が遠いですが。

 

着席した時にはピアノの前に例の調律おじさんがいました。パンフレットを買いに外している間に、残念ながらハケてしまいました。まあテールコートに着替える時間が要るんだから仕方ないです。

 

パンフレットは今回も500円、B5版、20ページ。

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メインコンテンツであるポゴレリッチさんのインタビューは、カジモトのサイトでタダで読めます。

www.kajimotomusic.com

パンフレットは、プログラムノーツ本文で18〇〇年が19〇〇年になっています。台無しです。残酷です。

愛国者ショパンは、1830年11月蜂起だけでなく、ワルシャワが灰燼に帰した1944年蜂起の悲劇まで目の当たりにしなければならないのでしょうか。しかもクロアチクス人のポゴレリッチさんはベオグラード出身、ユーゴ内戦に遭われた方です。

許される間違いと許されない間違いがあります。誤記だろうが誤植だろうが、これは回収しなきゃ駄目です。

 

さて、日本語のアナウンスの後、例によってポゴレリッチさんのアナウンスが流れて、開演しました。

 

拙いレビューです。

幻想ポロネーズ:演奏時間2倍あったんじゃないかしらの超スローテンポでした。1曲1曲を丁寧に解体、解釈、再構築して最高度の演奏に仕上げるポゴレリッチさんという見立てからすると、私の理解力では「まだ解体中」に感じました。

ソナタ第3番:その「解体中」なのか古い動画で気に入っていなかった彼の3番(新譜は聴いていない)ですが、非常によかったです。テンポやデュナーミクの揺らしが自然に耳に入り、一音一音に説得力を感じました。第2、第3楽章は過去最高に並ぶ部類。第4楽章のロンドはもっと踊って欲しかったと思います。

 

2曲終わったところで第一部終了、拍手。

マスクを着けて入場したポゴレリッチさん、演奏時だけマスクを外し、律儀に着け直してから立ち上がって拍手に応えます。以後も同様。

 

休憩を挟んで後半3曲。

十八番の舟唄は相変わらずの美しさで勿論良かったですが、個人的にはその前の子守唄が出色でした。後半手数が増えても流れの嫋やかさを失わず、その心地良さに個人的にはこの曲の良さを(再)発見した思いでした。(注1)

 

ポゴレリッチさんはステージから下がらずにそのままアンコールに入りました。

 

《アンコール》

前奏曲 嬰ハ短調 op.45
ノクターン ホ長調 op.62-2

 

掴みどころのない前奏曲は掴めなかったので、レビューも省略。

ノクターンは、ポゴレリッチさんらしい印象的な美しさでした。

 

3回かな、カーテンコールがあって終演しました。

 

ポゴレリッチさんはもの凄い書き込みがあるらしい楽譜を携行し、当然暗譜でも弾けるでしょうが、楽譜を前に弾きます。

譜めくりのお姉さんの姿勢が良かったです。

 

カーテンコールになると、撮影禁止の筈のサントリーホール内、というか私の周りの席は、動画を撮る輩の多いこと多いこと。B席なんか買う奴の心はさもしいのでしょう。演奏じゃないところで最後ガッカリしました。

 

注1:私のコレクションでは、好みでないユンディ・リ盤とポリーニ盤という影響もあるかもしれない。