昨日は安倍元総理がテロリストの凶弾に斃れて1年でした。
日本政治、特に外交面において偉大な足跡を残された方ですが、与党の中でも保守派、長期政権ということで、毀誉褒貶あり、左翼の人々からは蛇蝎の如く、悪魔の如く嫌われている訳ですが、特殊な人たちからは嫌われて普通の人達から支持されていたってことは、真っ当な政治をした真っ当な政治家ということだと思いますけども。
元々が成算ある政策というよりも最後に残されたチャンスとばかりに起死回生の逆転ホームランを狙った政策だと理解しつつも、日銀の金融緩和と並行して実施すべき規制緩和や財政出動が不十分で、経済の建て直しはうまくいっていないのではないかなと。成果は岸田さんよりも前にやった官製賃上げぐらいですが、あとここ最近の税収増は、政策に響かなかった経済が遅ればせながら反応してきたのかもしれませんが。
政治家がテロに斃れたのは、90年の長崎・本島市長以来でしたかね。総理、総理経験者ということでは2.26事件以来86年ぶり。
政治的なスタンスでは「リベラル」であろう日本経済新聞は関連記事をどんなふうに採り上げたかというと。
1面（準トップですらない記事）
安倍首相銃擊1年都内で法要、献花に列
（23年7月9日日経新聞1面）
11字×38行（見出し及び写真を除く）
3面（総合2・トップ）
演説の安全確保 見直し警察、屋内開催や荷物検査要請
選挙、交流と両立課題
11字×135行（前文を含み、見出し、写真及び表を除く）
27面（社会・トップ）
声上げた宗教2世たち
同じ境遇の人々を支援 団体設立
虐待防止や経済的救済
国も取り組み始動
11字×176行（見出し、写真及び表を除く）
27面（社会）
安倍元首相銃撃1年
奈良の現場で追悼
安全な世の中願う声相次ぐ
11字×41行（見出し及び写真を除く）
27面（社会）
旧統一教会がサイトで声明「ざんきに堪えない」
11字×20行（見出しを除く）
ということで、1番大きかったのは、社会面の宗教2世記事でした。
てことは、テロリストが社会を動かした訳ですな。
たとえ死刑になっても本能でしょうよ。
天下のNHKも、21時からのNHKスペシャルは「安倍元首相銃撃から1年 事件の深層と波紋」というタイトルでしたが、サマリーからすると、メインテーマは安倍元総理でなく統一教会。
2017年3月にニュージーランド・クライストチャーチでの銃乱射事件の後、当時のアーダーン首相は、
「テロの目的の１つは、悪名をとどろかせることだ。だから私は今後、男の名前を言うことはない。むしろ命を奪われた人たちの名前を呼ぼう。ニュージーランドは男に何も与えない。名前もだ」
（NHK政治マガジン記事（https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/15612.html）を引用。）
と演説しています。
テロリストの行為など、憎むだけで十分。背景とか真相とか要らん。
宗教2世問題、特に統○教会とか創○学会とか多額の献金が問題になっている（いた）宗教団体、というかその宗教団体と戦っている側について色々言いたいこともあり、それについて意見を書くこともあるかもしれませんが、そんな話題を「昨日は」採り上げてはいけない。
まずは暴力に斃れた元総理を悼むべきでしょうよ。
口では言わなくとも、テロ容認とかテロ肯定とか造反有理だとかいうスタンスだからまた岸田総理が襲われたりするんですよ。
と、昨日非常に不快に思いながら、一方で昨日は決して言及してはいけないと思って1日待ちました。
テロに優しい眼差しを向ける番組も相変わらず酷かったようです。
安倍元総理関係の本は両側から色々出ています。肉声を捉えた回顧録が一番いいように思いますが、橋本五郎さんや尾山宏さんにはもう少し批判的な立場から突っ込んでもらいたいです。政治部上がりの新聞記者でなく、経済に通じた人が参加していれば、もっと深みが出たのになあと思います。
