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ウィーン&ローマ旅行記 番外Residenza Ruspoli Bonaparte 後編・完結 貴族の館の今

ルスポリ宮殿は、B&Bだったりホテルだったり(レジデンツァ・ルスポリ・ボナパルテとレジデンツァ・ナポレオーネⅢは関係者、他のの2つはテナントだと思いますが)、

Splender Suite Rome

www.splendorsuiterome.com

Hotel La Place Roma

laplaceroma.com

Residenza Napoleone Ⅲ

 www.residenzanapoleone.com

 

100年以上の歴史の飲食店だったり、高級ショップのテナントだったり、またメンモ財団という公益財団の本拠地になって美術展なども開催されますが、多分に漏れず維持には苦労されているらしいです。

 

建築的にも美術的にも歴史的にも重要な建物ですが、文化財に溢れるイタリアでは決して少なくないこのクラス、とても財政支援は及ばないらしいく。免税などの優遇はあるでしょうが。

カラバッジョの天井画がある唯一の邸宅も競売に掛けられるくらいだし(これは内輪揉めと、属人的な理由による管理不行届が原因のようですが)。

www.afpbb.com

これと比べれば、日本は単に支援の手が薄いというか、国も民間も意識が低過ぎるのではないかな。重要文化財ならまだしも、登録有形文化財は補助も税制優遇も半額で対象に制限があり、公有文化財すら解体例があります。民間なら、維持に苦しんで解体する例は数多あり、ビジネスなら登録後の面倒を嫌って申請しない例など数えようもなく。

 

そんななか、宮殿やお城に泊まれるって凄いじゃん(1泊1組限定のシェーンブルン宮殿は本物だが、残念ながら「敷地内の別棟に泊まるだけ」のヴェルサイユ宮殿アルハンブラ宮殿は断じて違う。あとは、貴族の云々じゃないけど、スロベニア🇸🇮で泊まったホテル・ブレットは正真正銘、嘗てのユーゴスラビアのチトー大統領の別荘でした。)、ということで、他にも泊まれるところがあるのか、教皇貴族の宮殿(幾つも持っているケースが普通にあるので、ローマにおける一族の本拠地という基準で)が今どうなっているか調べてみました。

 

Aldobrandiniアルドブランディーニ家:現首相官邸キージ宮のキージ家の前の所有者だが、長らく一族の拠点であった郊外フラスカーティのVilla Aldobrandiniは、アルドブランディーニ本家筋が絶えた後血縁のボルゲーゼ分家が家名とともに継承し、現在イヴェント会場。
⑵Barberiniバルベリーニ家:1949年政府所有となり、現在国立古典絵画館。

barberinicorsini.org

⑶Borgheseボルゲーゼ家:現在も私有、「チェンバロのギャラリー」として一部開放。
⑷Borgiaボルジア家:後述スフォルツァ・チェザリーニ宮殿を建てたのがボルジア家。ボルジア家は、1748年に本家が絶えて長いだけあって、有名な割にはあまり名前が残っていない模様。

www.palazzosforzacesarini.it

⑸Borromeoボロメオ家:ボロメオ宮殿は、婚姻とともにコロンナ家の所有になった以降も何度も所有者を変えましたが、WW2前にイタリア政府が購入し、在バチカンイタリア大使館になりました。

ambsantasedevaticano.esteri.it

⑹Braschiブラスキ家:ナヴォーナ広場に面したブラスキ家の宮殿は、着工も比較的新しいのですが資金難で未完成のまま1871年にイタリア政府に売却され、内務省ファシスト党本部となり、現在はローマ博物館。

museodiroma.it

⑺Chigiキージ家:キージ宮殿として有名な宮殿は、150年くらい前にイタリア政府が取得し、現在首相官邸

www.governo.it

⑻Colonnaコロンナ家:コロンナ宮殿は現在も私有、必見の宮殿ギャラリー。

www.galleriacolonna.it

⑼Cyboサイボ家:カラーラの名門ですが、18世紀に途絶えており、一族がローマで居住した館については記録を確認できず。
⑽Doria-Pamphili-Landiドーリア=パンフィーリ家:家名は戦後に養子縁組を続けて英国籍者に継承されましたが、それでも本家筋はかなり最近の2000年に途絶えた模様。館はドーリア=パンフィーリ財団の所有として、現在ドーリア・パンフィーリ美術館。

www.doriapamphilj.it

(11)Massimoマッシモ家:1000年以上の歴史を持ち、婚姻を通じて統一イタリア王国国王をはじめとする欧州各国の王族に縁を持つマッシモ家の館は、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世通りに面したマッシモ・アッレ・コロンネ宮殿。Privateです。普通に一家が暮らしています。列柱(コロンネ)が特徴的なポルティコを覗き込むだけにしましょう。

www.turismoroma.it

(12)Matteiマッテイ家:
ルネサンス期に繁栄し、マッテイ広場を中心とする5棟の建物群Isola dei Matteiなど多くを建設・所有していましたが、家系は19世紀初頭に絶えた模様。ミケランジェロ・カエターニ通りのマッテイ宮殿Palazzo Mattei di Gioveは、ガイドツアーで見学可能ですが、現在休止中の模様。

www.turismoroma.it

(13)Mediciメディチ家
1505年に建設、メディチ家本家滅亡後にロレーヌ家、ベネディクトゥス14世、バチカンと所有者を変え、イタリア王国成立により王国に取り込まれた後、上院議事堂になったマダーマ宮殿。

www.senato.it

 別荘ヴィラ・メディチ(在ローマ・フランス・アカデミー)は、オフィシャル・ゲストがいないときは一般客が宿泊可能との情報がありましたが、公式サイトからは消えているようです。

www.villamedici.it

(14)オルシーニ家:
マルケルス劇場上層の住宅部分、10年程前にオルシーニ家が買い戻し、居住中。

it.wikipedia.org

モンテ・ジョルダーノ通りのタベルナ宮はオルシーニが建てたものですが、⑴と同じくステファニーナ・アルドブランディーニさんがイヴェント会場として運営中。

以前ボマルツォのオルシーニ宮殿には入ったことがありますけども。
 
あ、これで15家系(ルスポリ家を除く)全部か。
 
他にも有名なローマの貴族では、

①Caetaniカエターニ家:Isola dei Matteiの1つ、マッティ・カエターニ宮殿は、カミッロ・カエターニ財団の本部としてカエターニ家が収集した芸術作品や本を管理しています。図書館として利用可能。

www.fondazionecamillocaetani.it

②Corsiniコルシーニ家:1898年イタリア王国に寄付、現在国立コルシーニ宮美術館。

barberinicorsini.org

③Della Rovereデッラ・ローヴェレ家:ホテル・コロンバスとして営業していましたが、生憎廃業。2020年から始まった発掘調査で中庭にネロ帝の劇場跡が発見されたことが2023年7月に発表されています。

www.hotelcolumbusrome.it

イタリア語ウィキペディアが早いです。

it.wikipedia.org

④Farneseファルネーゼ家:現フランス大使館、ガイドツアーで観覧可能。

visite-palazzofarnese.it

 

以上です。

ホテル・コロンバスが廃業したのが残念ですが、ルスポリ以外には寝泊まりできるところはありませんでした。やはり超絶貴重ですね。

一度は泊まってみるもんです、やっぱり。

 

や、長かった。

これにて番外編付き全20回に亘る旅行記完結です。