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バロックの神髄 ―ミュンヘン・バッハ管弦楽団2019― at 東京オペラシティ

昨日は初台、東京オペラシティ

昔録音されたマタイとかヨハネのCDは散々聴き倒しているミュンヘン・バッハ管弦楽団

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バロックの神髄 ―ミュンヘン・バッハ管弦楽団2019― – インプレサリオ東京

 

公演案内に、

音楽史に名高い巨匠、カール・リヒター率いるミュンヘン・バッハ管弦楽団が一世を風靡してから四半世紀

と書いてあります。

「マタイ」(注1)の録音が1,958年。彼らと合唱団、ちょっと惜しいことを言うと管弦楽団でなく「カール・リヒターと合唱団」だと思いますが、70年代末には既に神格化されていました。一世を風靡してから優に半世紀を過ぎています。「四半世紀前」は初来日公演を指すようですが、「一世を風靡」の使い方が違うんでないかな。

そのオケの2005年からの音楽監督ハンス=イェルク・アルブレヒトさんは、リヒターと同じ指揮者にしてオルガン&チェンバロ奏者。その辺りも後継者と呼ばれる所以のようです。

首都圏4回公演のうち東京開催は今日1日限り。

 

座席は、あんまりお金使わないように3階サイド。(特定情報を全部消したので3階であるとは分かりませんが↓)

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オペラシティの四角いコンサートホールのサイド席は、ステージでなく対面を向いているので、耳に入る音の左右バランスが取れず、ステージも半分以上見えません。この日で言えば、チェンバロを弾きながら指揮するアルブレヒトさんが、居たのかどうかすら分からない。ダメですね、ここは。手摺の間から、レベッカ・ハルトマンさんのソロと、オルガンを弾くアルブレヒトさんだけよく見えました。

同じサイドでも2階に結構空席があったので、財布との相談ですが、視覚的にはそっちの方がよかったかな。

 

公演パンフレットは無料配布。1枚もののリーフレットなので、掲載自粛。 

 

プログラムは、以下。

 

第1部~バロック作品傑作選~

G.F.ヘンデル:オラトリオ「ソロモン」より“シバの女王の入城” HWV67

J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 BWV1041

G.F.ヘンデル:「水上の音楽」第1組曲ヘ長調 HWV348

 

第2部~大バッハの世界~

J.S.バッハ:幻想曲とフーガト短調 BWV542 『大フーガ』(パイプオルガン)

J.S.バッハ組曲(H.アルブレヒト編曲による抜粋作品)

カンタータ第79番「主なる神は、太陽にして盾なり」アレグロモデラー

カンタータ第32番「いと尊きイエス、わが憧れよ」アダージョ

カンタータ第147番「心と口と行いと生活で」コラール“主よ、人の望みの喜びよ”

カンタータ第74番「人もしわれを愛せば、わが言を守らん」アレグロ

-復活祭オラトリオBWV249 アンダンテ

カンタータ第155番「わが神よ、いつまで、ああいつまでか」アコンバニャー卜

ブランデンブルク協奏曲第1番へ長調BWV1046 第3楽章アレグロ

カンタータ第35番「霊と心は驚き惑う」アンダンテ

カンタータ第83番「新しき契約の喜ばしき時」アレグロモデラー

 

アンコール

J.S.バッハ管弦楽組曲第3番ニ短調 BWV1068「G線上のアリア

J.S.バッハ:クリスマス・オラトリオ BWV248よりカンタータ

 

バロックの名曲を並べた第1部から、第2部はパイプオルガンを堪能し、そこからバッハの名作を紡いだアルブレヒトさん編曲の大組曲。当初の予告より大幅拡充した組曲は、9曲から成る大曲になっていました。(私は147番とブランデンブルクくらいしか知りませんが。)

 

それで演奏。

編成は、指揮/チェンバロの他15人だと思いますが(半分以上見えないので、入退場時カウント)、リヒターさんの時代と比べるとかなり小編成。ピリオド・アプローチがどこまで入っているかどうか分かりませんが、小編成の1音1音が粒立つ美しいサウンドでした。チェンバロもいいです。

オペラシティのオルガンは初めて聴いたと思いますが(注2)、素晴らしい音でした。ホールによって足鍵盤のレイアウトが違うのでしょうか、アルブレヒトさんは盛んに足元を気にされていました。演奏は、よく分かりません(笑)。パイプオルガン曲は技巧差が分かり難いし、バッハの荘厳さには照明が明るい。

少人数は個々の技量が見えてしまいますが、ハルトマンさんのストラディバリウスだけでなく、見えない右側の管楽器も含めてかなりよかったように思います。

心が穏やかになる演奏でした。

そのためか、向かい側を見ていると、爆睡している聴衆が少なからずいましたが。。。

 

協奏曲の第1楽章の後に拍手は起きるし、聴衆はイマイチでしたね。

 

バッハを聴くと、思い出してついiPhoneを操作する手が伸びるロックのアーティスト/アルバム3枚。

 

Premiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォーネリア・マルコーニ。原語に忠実な読み「フォルネリーア」とは呼ばないな)、日本での略称PFMのワールド・ワイド・デビュー作“Photos of Ghosts”「幻の映像」。

Photos of Ghosts

Photos of Ghosts

 

バロック音楽の伝統無くしては成し得ない、とまで言うかどうかは別として、イタリアン・ロック、ユーロ・ロック、クラシカル・ロック、プログレッシヴ・ロックの大金字塔。バロックのリリシズムとロックのダイナミズムとの奇跡の融合。

 

IL ROVESCIO DELLA MEDAGLIA(ロヴェッショ・デッラ・メダーリャ、イタリアのバンドは名前が長い)、日本での略称RDM(共通の話題にならないから呼んだことがない)の3rdアルバム。“Contaminazione”「汚染された世界」。

Contaminazione

Contaminazione

 

プログレ界にその名を轟かすイタリア映画音楽界の巨匠ルイス・エンリケス・バカロフが、バッハの作品、主には「平均律クラヴィーア」だと思いますが(注3)、を派手にオーケストレーションした、ケレン味たっぷりのロマン派的バッハ。コンタミなので確かに「汚染」という訳が基本でしょうが、おそらく誤訳。本来は“Classic in Rock”みたいな意味だと思います。

 

Latte e Miele(ラッテ・エ・ミエーレ、名前からしキリスト教)の1stアルバム、“Passio Secundum Mattheum”「受難劇」。

受難劇+1(紙ジャケット仕様)

受難劇+1(紙ジャケット仕様)

 

私はキリスト教徒ではないどころか、微塵のシンパシーも抱いていませんが、これはコテコテのクリスチャン・ミュージック(だと思う)。バチカンでローマ法皇パウロ6世だと思われる)に御前演奏を披露した若者3人組による「マタイ受難曲」は、マルチ・キーボードを中心にした目まぐるしい展開と合唱。非キリスト者である私にはコミカルに思える程真摯。

 

注1:愛聴盤は寧ろその後の「ヨハネ」。

注2:ここ最近、ハモンドやらローズやらメロトロンやらの生音を聴いて感動していましたが、よくよく思い返すと、日本の大ホールでの生パイプオルガンをじっくり聴いた記憶はあまりない。

注3:自作使い回し王のバッハの場合、私レベルの知識ではどの作品がオリジナルかは分からないが、後期の大作である平均律クラヴィーアには、集大成的に過去の名フレーズが盛り込まれている。