殆どピアノの私ですが、本日は声楽です。
当代最高のベルカント・テノールと称される、ファン・ディエゴ・フローレスさんのソロ・コンサートのため、上野は東京文化会館にやって参りました.
この間上野に来た際も寄った東京文化会館(ですが、カフェが満席だったのですごすごと退散しました)。
ワーグナー好きの私としては彼のようなリリコ(よりもレッジェーロですよね)は軽過ぎるのですが、先月ウィーンで「ドン・パスクワーレ」を聴き損なった反動で「清教徒」やら「連隊の娘」やら「マティルデ・ディ・シャブラン」などベルカントを聴き倒していたところで、その「マティルデ・ディ・シャブラン」を出世作とする彼のリサイタルが丁度あると知り、飛び付いた次第。
嫁は敬遠したので、ソロ活動です。
にしても、歌手のリサイタルって高いのね。著名オケを帯同している訳でもないのに、2階席で25,000円します。
【プログラム】
―歌劇「皇帝ティートの慈悲」
序曲
“皇帝の主権にとって、親しい神々よ”
“比類この上ない玉座の唯一の果実がこれなのだ”
―歌劇「ドン・ジョヴァンニ」
“わたしの恋人を慰めて”
―歌劇「イタリアのトルコ人」
序曲
―歌劇「ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)」
“私を見捨てないでおくれ、復讐の希望よ~ “先祖代々の住処よ”~友よ、復讐に手を貸してくれ”
【第二部】
ジュゼッペ・ヴェルディ作曲
―歌劇「シチリア島の夕べの祈り」
序曲
—歌劇「リゴレット」
“あれかこれか”
―歌劇「仮面舞踏会」
“今頃は家に到着し、ようやく落ち着いたことだろう〜永遠に君を失えば”
前奏曲(第一幕)
―歌劇「二人のフォスカリ」
“生まれ故郷の微風よ~委員会へはやく出て真実を明かすように〜憎しみだけが、それも凄まじい憎しみだけが”
―歌劇「椿姫」
前奏曲 第1幕
―歌劇「アッティラ」
“おお、苦しみよ!私は生きてきた”
―歌劇「ルイザ・ミラー」
“ああ!自分の目を信じるにいることができたら!〜穏やかな夜には〜用意されているのが祭壇であろうと墓であろうと”
曲順変更あったようですが。
オーケストラは、ミケーレ・スポッティさん指揮東京フィルハーモニー交響楽団。
それでレビューですけども。
ハイCを生で聴いたのは初めてじゃないかな。
やっぱり凄いですね。
【アンコール】
3曲はギターの弾き語りで、
ペルー出身の作曲家チャブーカ・グランダ「ホセ・アントニオ」
タンゴ歌手カルロス・ガルデル「El Dia Que Me Quieras」
トマス・メンデス「ククルクク・パロマ
最後はオケと一緒に、
アグスティン・ララ「グラナダ」
21時10分頃終演予定のところ、21時40分になりました。
聴衆の反応もいいし、彼もノッていたんじゃないでしょうか。
正直言いますとね、技巧も確か(なよう)だしハイCは凄いと思いましたが、本編は全体的に私の心を打ちませんでした。男声最高音のテノールではありますが、私はもう少し中音がふくよかな方が好みです。
フローレスさんの声が、客席数2,300とウィーン国立歌劇場と同等、NHKホールと比べたら2/3と小さい東京文化会館の、2階席手摺まで5m程届かなかったように感じます。
ドミンゴさんのジークムント('06年 MET NHKホール)がもっと遠いNHKホール2階席を軽々と制圧していたのが未だに印象に残っている私としては。
いやいや、レッジェーロ/リリコなんだから聴き方が違うんだよ、と言われればそうなのかもしれませんが、やっぱり私はドラマティコのパワーが欲しいんですな。
そういう違和感を持ってしまっただけに、クラシック/オペラ縛りのないアンコールが良かった。素晴らしく上手いこともよく分かるし、美声も堪能しました。
オペラの実況録音では違和感は感じないし、ソロ・リサイタルの聴き方って難しいですね。そういえば初めてだったし。
指揮のスポッティさんも良かったです、溌剌としていて。
公演パンフレットはA3見開き(A4 4ページ相当)。
無料配布というか完全「ご自由にお持ち帰りください」制でした。ご自由に複数部持ち帰った人も少なからずいるんじゃないかしら。
昨年はキャメルの来日がキャンセルになって、国内のコンサートは6月のパレルモ・マッシモ劇場の引越公演でここに来て以来でした。
今年はこれが初回、以後はあと2つ入っていますが、4月以降の予定が入っていません。先日のビリー・ジョエルさんは抽選に外れ、秋のアイアン・メイデンは申し込んだと思ったけど記録がないから未定。オペラは来日組が前回来日公演を聴いたコヴェント・ガーデンだし、新国立とか二期会とかにしてみようかなあ。いややはりコヴェント・ガーデンかな、演目もいいし。
財布と相談しながら考えよう。